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2009年3月

2009年3月23日 (月)

小説「醒なる美舞」目次へのルートのおしらせ

小説「醒なる美舞」の目次は、2009年1月1日の所に引っ越しました。ココログケータイ小説恋愛から入ると入り易いです。よろしくお願い申しあげます。

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しいなゆうひのPCケータイ小説BBS☆

こちらでは、≪しいなゆうひの書いたPCケータイ小説≫のご感想等のBBSにご利用下さい。

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現在公開中の小説

「Ayaのひととき」【完結】

 ・・・ 恋愛・ライトノベル・サイドストーリー

 ・・・ 「Ayaのひととき」序 より

 ☆ コードネームはAya。孤高の銃の使い手。Ayaと唯一接触をする青年情報屋K。ある七夕の晴れた日に、二人は久し振りに際遇した。ゆるりとした時間が流れたのも束の間であった。白雨の中、Ayaが走り出し…。愛は何処にあるの?サイドストーリーです。

美少女アルバムシリーズ第1弾。

* 携帯で見易い様に小説「Ayaのひととき」を改稿しました。

「SIXTEEN☆結婚物語」【完結】

 ・・・ 恋愛・ライトノベル・短編

 ・・・ 「SIXTEEN☆結婚物語」序 より

 ☆ 諸注意

18禁小説ですので、未成年者はご覧にならないで下さい。

20歳未満です→ご覧にならないで下さい。

20歳以上です→「SIXTEEN☆結婚物語【2】1美歩那と智樹」へお進み下さい。

『SIXTEEN☆結婚物語』は、女子高生モデル美歩那とカメラマンで年上夫の智樹との甘い新婚物語。[Comme d'habitude]なんて写真集も作ったの。所がジェラシーの波が!?どうしてメールの返事が来ないの?入籍だけなんて、耐えられないよ。短編です。

美少女アルバムシリーズ第2弾。

「醒なる美舞」【連載中】

 ・・・ 恋愛・長編予定

 ・・・ 「醒なる美舞」序 より

 ☆ 神秘の力を持つ傭兵二人。彼らには秘密の痣がある。左手の五芒星は漆黒のマリア。右手の逆五芒星が白銀のウルフ。その両親から生まれた美舞は両の手に神なる力を携える。美舞を巻き込む過酷な運命とは!?何に覚醒する…?恋愛!SF!学園!格闘!長編です。 

さくさく読めます。

美少女アルバムシリーズ第3弾。

どうかよろしくお願いいたします。m(__)m

***

しいなゆうひ

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醒なる美舞【82】 後記

「醒なる美舞」後記

‐『醒なる美舞』とSF・克己心‐

『醒なる美舞』は、学園ものの様に見えて、SF小説です。

“science fiction”と言うよりも、“science fantasy”として書きました。そこには、私の求める、ロマンがあります。何処か不思議な世界にありながらも、夢を残していると思えるからです。

美舞の設定は、両親のエピソードからして、SFです。特に、「力」に関しては、現実的ではありません。単にそれだけではなく、強くなりたいと言う願望、変身願望を満たしてくれると思います。

さて、美舞は何に変わりたかったか。それは、強さと毅さと兼ね備えたつよい人間となり、自身の生まれを知る事と恋愛から、克己する事だと思って書き始めました。肉体的な格闘の描写が多々みられますが、精神的にも表現したかったのです。余り上手くは表れていませんが、稚拙な筆者に免じてご了承下さい。

未だ未完成とはいえ完結の形を取れた事は喜ばしい事です。今迄は全10章迄しか公開していませんでした。今回、エピローグ的な要素も含めて全23章迄日々の生活の中で書いてやり遂げられた事が嬉しいのです。今後、描き直し、加筆修正も考えております。もしかしたら、続編も書こうかとも思っております。

此処までお読み下さり誠にありがとうございました。本当に拙い作品ですが、どうぞ、マリアとウルフ、美舞と玲の二つのちいさな愛を見守ってあげて下さい。そして、こんな世界もあるのだと言う事を物語として心の片隅に灯してあげて下さい。

まずは、御礼まで。

***

しいなゆうひ

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2009年3月22日 (日)

醒なる美舞【81】 23 結婚式の奇跡-4

 ―数年後―

 二人の間に子供が宿る。

 さて、その子の運命は?

 五芒星や逆五芒星の痣は?

 Fin

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2009年3月21日 (土)

醒なる美舞【80】 23 結婚式の奇跡-3

 三浦家の玄関から出て来た美舞と司狼と真理亜に日菜子は頬が照った。そして優しく美舞に声を掛けた。
「美舞、今一番輝いている・・・。ウエディングドレスではなくて、美舞が、美しく舞っている・・・。本当におめでとう、土方美舞。」
日菜子はそっと自分の涙を拭った。

 父が花嫁の手を引き、母がその後を歩み、新郎に美舞の手を渡した。粛然と歩んで行った。

 三浦家と土方家の四人の心境は様々で複雑であり、列席した皆が察するに鳥滸がましい感じさえした。

 玲と美舞は皆の前で誓いの言葉を述べた。
「私達は永遠に愛し合う事を誓います。」

「糟糠の妻は堂より下さずと肝に銘じます。」
 玲が舒した。
「夫婦は二世と肝に銘じます。」
美舞が舒した。

 玲が美舞の頬にそっと右手を当てた。玲の右手にはもう力はない。美舞は桜の様にその花瞼を閉じた。次第に当てられた右手から己の紅潮する頬を隠せなかった。玲も又うっすらと呈したのは甕覗き色の涙であった。

 二人は優しくキスを交わした。それはマリアとウルフが知り合った時と同じ日の夜。七月八日の午前十二時ジャスト。

 すると、星降る夜空から祝福の星が一筋流れた。流星群の最初の一つ星であった。

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2009年3月20日 (金)

醒なる美舞【79】 23 結婚式の奇跡-2

 コンコン。

 ノックの音がして日菜子の声がした。
「お支度はできましたか?」
美舞はその時が来たのだと感慨も積もり、又これからは中々行き来できなくなる親友に一目会いたくてドアを開けた。
「ひなちゃん、この度はお手伝いありがとう・・・。」

「芳川日菜子さん。私達からもお礼を申し上げます。」
 真理亜と司狼が深々と首を垂れた。
「いえ、些細な事で恐縮です。この度は誠におめでとうございます。」
日菜子のコーディネイトは最高であった。美舞と玲で基本的には式の支度をしたのであったが、日菜子のサポートで粋なものになった。

 さて、式はとうとう始まった。

 三浦家でのガーデンパーティー形式である。三浦家の庭に、花嫁であるワンショルダーのウエディングドレス姿の今もの静かな美舞と新郎であるタキシード姿のいつもの様子の玲、そして新婦父であるモーニング姿の畏まった司狼、同じく母である“漆黒のマリア”ならではの黒いイブニングドレス姿の花嫁をも凌駕しそうな真理亜が居た。

 この新しい家族の間で結婚式と結婚披露宴が始まろうとしていた。美舞は三浦家から土方家に入る事になるのであった。

 三浦家の庭では、ピンクの胸元のリボンが可愛らしいワンピース姿の日菜子らが列席していた。日菜子も含め周囲はあたたかく見守ってくれていた。

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2009年3月19日 (木)

醒なる美舞【78】 第23章 結婚式の奇跡-1

第23章 結婚式の奇跡

 ―五年後―

 今日は三浦美舞と土方玲の結婚式である。

 今は、七月七日の晴れた夜。三浦家リビングにて真理亜と司狼がウエディング姿の美舞の元揃っていた。

「父さん、泣くのはもうよしてよ。」
 真理亜の様に美しくなった美舞の前で落ち着かない司狼と落ち着き過ぎて怖い真理亜であった。家族だけの団欒は最後のひとときとなった。

「美舞、キスは父さんの前でしてはいかんぞ!あれは心臓に悪い!」
 司狼はウエディングドレスのベールを触り懇願した。
「・・・・・・。」
縋る様でみっともないけれどもその気持ちも分かるので真理亜は黙っていた。

「人前結婚式なんだから、仕方ないじゃない。」
 美舞と言う娘は、性格が少し司狼に似ている。司狼を慕っているのは間違いがないのであった。寂しいのは父、司狼だけではない。その娘もそうである事は表情から十分伺えたが、それでも宥めるしかないのは、美舞の中の強さと毅さであった。

「美舞は、見た目は母さんの様に美しく、中身は父さんの様な所があって、もう最高の娘だといつもいつも自慢していたのに。」
 司狼はポケットチーフで涙腺から鼻に出たものをかんでしまった。
「これからもその侭でいいでしょう?父さんの娘をやめる訳じゃないんだよ。」
美舞も司狼とは負けない所が似ていて可愛いと、又ポケットチーフを使ってしまった。

「はい、司狼。」
 新しいポケットチーフを真理亜が渡してくれた。用意していた様であった。
「あの男・・・、婿にすればよかった。」
司狼は呟きでピチッと真理亜にでこピンをされた。

「貴方はお酒も戴きませんからね。発散できないのは分かります。」
 真理亜が肩をさすった。
「・・・・・・。真理亜は流石妻なだけあるなあ。死に水はおばあちゃんに取って貰おう。」
司狼が思いっきり馬鹿な事を言い出した。

「あほか。」
 美舞にでこピンを一つ。
「馬鹿ね・・・。」
真理亜にでこピンをもう一つされた。

「あいててて・・・。」

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2009年3月18日 (水)

醒なる美舞【77】 22 神の啓示-2

「あ、何か、僕、軽くなったみたいだよ。」
 美舞は手足をぶんぶんと振って、皆の前ですっかり憑依が取れた事を証明した。
「又、憑依されていたんだね。」
玲が先日の眼の前で見た事を思い出して言った。

「玲君・・・。さっき言った事は本当だよ。」
 玲を見つめた。
「さっきって・・・。さっき・・・!?」
玲ははっとして赤面した。

「そう、さっき。一度しか言わないよ。」
 こんな所はマリアに似ていた。
「本当なんだね・・・。」
玲は感慨に浸った。運命だけでは得られない愛がそこにあった。

「じゃあ、五年後に約束を果たしてくれるかい・・・。」
「そうだね、五年後に・・・。」

 五年後の結婚を約束して、二人は闘いの勝利と愛のキスをした。

「あ!」
 美舞は自分の今迄光鋩があった掌を見た。
「何故か・・・、あの痣は消えたみたいだよ。」
少し寂しい様に呟いた。

 マリアとウルフの痣も消えていた。玲には元々痣はないが、力を封じる力があった。しかし、今はそれも感じられない。

 四人とも力を失っていた・・・。

 闘いは終わった・・・。

 この闘いで、美舞はマリアとウルフのかけがえのない両親のあたたかさを知った。そして、美舞と玲の二人に深い絆が出来た・・・。

 美舞の素晴らしい笑顔が何よりもそれを語っていた・・・。

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2009年3月17日 (火)

醒なる美舞【76】 第22章 神の啓示-1

第22章 神の啓示

「吾は神なり。」

 ガガガガガガガーン!!!

 プラズマが表れ、雷鳴が轟いた。

 美舞の様子が急変した。体は硬くなり、蒼白となり、目は三白眼で恐ろしい形相となった。
「僕の肩が重いよ。」
先般と異なり、憑依は半分だけの様であった。美舞は気を失っていなかった。
「う・・・。何か苦しいかも・・・」。

 玲とマリアとウルフは再び体躯が全く動かなくなっていた。勿論口も利けない状態であった。只見ているだけに歯痒い思いをしていた。
 「美舞・・・。又、辛い目に・・・。」
誰もがそう心配していた。

「吾は神なり。」
 美舞の口を借りて、先日の“吾”、神を名乗るモノが現れた。
「三浦美舞、主に告げる事あり、参った。」
一人芝居を見ている様であった。

「で、用は何?」
 美舞の中の美舞が訊いた。

「三浦美舞、主はカルキなり。」
 神を名乗るモノから大きな言葉が飛び出した。

「ぼ、僕がカルキ?」
 美舞は冗句かと思った。
「いつだって唐突だね。」
美舞は血色をもぎ取り、ぎょろっと目の玉を戻して、又美しい元の美舞に戻ったが、体の硬直は取れなかった。

 神を名乗るモノが皆の前で語り出した。
「カルキは神の中の神。主こそがカルキなり。」
厳かに美舞の口から神の声が聞こえた。
「神の国へ誘うが如何なものか。」
神はカルキである美舞に問い掛けた。

「いいよ。遠慮する。僕は。地球でやりたい事があるんだ。」
 自分と話しを付けていた。
「そうか。主、カルキに従う。」
神を名乗るモノはカルキだと名指す美舞と話して用が済んだとみるや、美舞の中からさっと消えた。

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2009年3月16日 (月)

醒なる美舞【75】 21 仇討-5

 ド。
 ド・ド。
 ド・ド・ド。

 ド・ド・ド・ド。
 ド・ド・ド・ド・ド。
 ド・ド・ド・ド・ド・ド。

 怒涛の様な振動波が果てしない火の輪を破り湖一杯を走破した。

 四人の金縛りが解けた。見ると木のモノはムンクが耳を押さえて叫んだ様な洞を胴体の真ん中に開けて枯れていた。

 四人がそれぞれに見ていた金の斧の幻覚は消えた。金のモノは白金耳の様に小さく丸まって焼けていた。

 それを見た火のモノは面白がって狂った様に木のモノを燃やし金のモノを熱した。

 それを見ていた水のモノも可笑しな磁石の様に火のモノに取り憑いて火のモノも消してしまった。同時に木のモノも金のモノも消えてしまった。そして水のモノ自身火のモノを消すと蒸気すらなくなってしまっていた。

「日よ、大地を照らせ!月よ別てよ!」
 美舞が光鋩の一筋を月のモノ日のモノに向けて当てた。

 すると、宇宙船から見る地球の夜明けの様に、月と日が別ち、光の小さな塊を作ったかと思うと日輪が翳し出し、金環食になり、とうとう皆既日食が終わった。

 大地は素晴らしく神々しい陽射しに溢れ出した。地球一杯を照らされ、美舞や玲やマリアやウルフの四人は歓喜に満ちた。

「美舞・・・!」
 三人が駆け寄って来て美舞を抱き締めた。美舞の体は熱かった。

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2009年3月15日 (日)

醒なる美舞【74】 21 仇討-4

 美舞は自我がホワイトアウトしていた。

「僕・・・。僕は・・・何ぞ?」
 自分と対話していた。
「僕は誰って事だよね?僕は一体誰なんだろう。」
じっとしているだけに見えてかなりセルフコントロールに努めていた。

「僕はマリアとウルフの子。聖と魔のハーフ。両の掌に五芒星と逆五芒星の痣を持つ秘密がある。」
 暫くその秘密の重みに圧されていたが、はっとした。
「その前に母さんが父さんを愛して産んでくれた人間じゃないか!」
美舞の心に強く念じた。自分を知る事は強くなる第一歩である。

「僕・・・。そう言えば、玲君と手を繋いで神になった事があったっけ・・・。」
 次第にホワイトノイズが聞こえ出した。
「何?聞いた声がする。誰だろう?あたたかい。とてもあたたかい。」
落ち着いて来た。

「トクン・・・。トクン・・・。」
 美舞は最後迄克己していた。

「美舞・・・。」
 マリアの声であった。
「大切な美舞・・・。」
ウルフの声であった。

「愛しているよ、美舞・・・。」
 玲の声であった。

 美舞の瞳が魔なるモノと聖なるモノの力、金縛りや幻覚を破り桜の花が開く様に目覚めた。“大切な愛”を感じた美舞のエネルギーは今迄にないものであった。美舞に宿る自然の力と愛の力が心の奥から生まれて来た。美舞が、マリアがウルフの子として宿り約十月、そして産声を上げて生まれて最初に溜めた空気、それを一気に吐き出した。

「は、ああああああああああああああああああ・・・・・・・・!!!」

 美舞の左手の聖なる印、五芒星の痣が光鋩を放った!

 美舞の右手の魔なる印、逆五芒星の痣が光鋩を放った!

「僕は、マリアとウルフの愛の結晶、三浦美舞だ!」

 両の光鋩が重なった。

「そして、土方玲を愛している・・・!」

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2009年3月14日 (土)

醒なる美舞【73】 21 仇討-3

 ウルフとマリアを手玉に取っている一方、六のモノは皆どろどろどろろと音を立てて大首絵の様に迫って来て、玲を一視した。

「裏切りモノの土のモノめ!」
 火のモノがケタケタと笑い、炎をぼうっと飛ばした。玲は素早く片手を地に付けて回転して躱した。
「土方玲、そなたの父、土方葉慈を殺したのは吾らなり。」
月のモノが強い影を与えた。玲はその場に金縛りにあってしまった。口も利けない状態になり、蝋人形の様になった。

「どうしたの?玲君!?」
 美舞はマリアとウルフに応戦しようと思っていた所であったが、玲の異様さに気が付いて踵を返して近付こうとした。しかし、六のモノの視線は美舞にも向けられ、行く手を阻まれた。

「土のモノは聖なるモノから魔なるモノに落ちて行って、又吾らを裏切り“人”と同衾した。」
 口々に聞こえるのが谺した。木のモノが美舞や玲やマリアやウルフの四人に起こした仕業であった。

 火のモノは四人の足元に大きな炎の輪を作り、月のモノは又強い影を放ち四人共金縛りにさせた。魔のモノの得意技の様であった。

 金のモノは大きな金の斧に襲われる幻覚を起こし、水のモノは火の輪の周囲に果てしない湖を作った。日のモノが一旦頗る眩しい閃光を与えた。

 そして、月のモノと日のモノが同意して、とうとう日光を消し去った。皆既日食であった。これが魔なるモノと聖なるモノの力であった。

「マリア、お前は私の娘だった。聖なる娘、マリア・・・。」
 日のモノが泣き咽ぶ様に言った。
「ウルフ、お前は私の息子だった。魔の息子、ウルフ・・・。」
月のモノが冷徹な声で言い放った。

「美舞、お前は運命の子。吾らが捜していた運命の子。聖でも魔でもない。・・・では何ぞ?」
 日のモノと月のモノが口を揃えて言った。
「では、何ぞ?」
再び日のモノと月のモノが口を揃えて訊ねた。

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2009年3月13日 (金)

醒なる美舞【72】 21 仇討-2

 どうやら気から察するに位の低い順に登場したらしい。魔のモノが三、聖のモノが三、美舞達四人の前に立ちはだかった。

 そのモノ達は、魔のモノや聖のモノと呼ばれながらも、臭気の様に闘気がムンムンとしていた。

 マリアが先制を放った。

 カッ

 左の掌に気を込めて、木のモノに聖なる光球を与えた。一直線に木のモノに当たり、一時は木のモノを斃したと思えたが、それは甘かった。

「吾を見くびるな。」
 そう言うと木のモノは蔦をマリアに絡めた。
「う・・・。こ、この位・・・!」
カッと左の掌を光らせると食い千切る様に蔦から逃れた。しかし、魔のモノの攻撃は続いた。

「火の業火。」
 火のモノがマリアの体躯を取り巻く様に焼き尽くそうとした。
「うああ・・・!」
左の腕でクロスを描き火を払ったが、その痛手は酷く、火傷をあちらこちらにした。

 そのマリアを背にして闘っていたのはウルフであった。

「吾の力も受けよ。」
 金のモノが聖なるモノの一番を名乗り出た。
「ここは私に任せなさい。」
ウルフは受けて立った。

 聖なる力が込められた金粉の様なものが吹雪の様に降り注ぎ、ウルフは窒息しかかった。
「ん、んぐう・・・。」
カッと右の掌を光らせた。その手で口を覆うとウルフの口から入った金粉の様なものは右手に吸い込まれて行った。そして手で体の周りに円を描き、次々と金粉の様なものを取り除いて行った。

「こ、この位ではまだまだ・・・。」
 そう言いつつもウルフにダメージは強かった。足をよろめかせた。

「水の矢。」
 数々の水の矢の様なものがウルフを攻撃した。半分程は躱せたが、半分は体躯のあちらこちらに当たってしまった。
「うお・・・。水なのに熱い!」
流石のウルフも倒れそうになったが、何とか持ち堪えていた。

 兵であるウルフとマリアであっても苦戦していた。傭兵の頃とは全く闘い方が違う。しかし、この二人は困難にあっても挫けやしなかった。

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2009年3月12日 (木)

醒なる美舞【71】 第21章 仇討-1

第21章 仇討

「八重桜が綺麗な所があるのですが、どうやら私はそこに不思議な気を感じるのです」
 玲が口火を切った。玲の父、葉慈が殺されたのである。熱さは人一倍であった。
「あ、あの桜?この間の徳乃川神宮の森で見た・・・!」
美舞がはっとして玲に訊いた。

「はい、そうです・・・。」
 玲が言い掛けると、ウルフが口を挟んだ。
「この間のって何だい?」
眉間に皺を寄せて眉をぴくつかせ、玲の顔に己の顔を近付けた。

「やめなさいよ、ウルフ。」
「わかったよ。マリア・・・。ぶつぶつ。」
 渋々パパ司狼を止めてウルフに戻った。
「ぶつぶつ煩いと、怖いわよ、ウルフ。」
マリアが左手の拳を鳴らして言った。

「よし、行ってみよう。四人で。」
 ウルフの掛け声で一気に徳乃川神宮の森に辿り着いた。皆足が速い。

「おかしいですね・・・。この間とは違いますね。美舞さんを神が憑依した時と同じ気を感じます。」
 玲の「感」も研ぎ澄まされていた。
「僕も、今なら分かるよ。この間はなかった気だ。」
美舞が続けた。

「特にあの八重桜!!」
 美舞がそう言うと、突然にその大木の八重桜が勢いよく散った。

 一枚の花弁から異形のモノが現れた。そのモノは魔のモノと思われた。額に逆五芒星があった。
「吾は木のモノ。」
続いて又一片から異形のモノが現れた。そのモノも魔のモノであった。
「吾は火のモノである。」
又一片散り魔の異形のモノが現れた。
「吾は月のモノなり。」

 今度は雰囲気が変わった。

 一片落ちる際に不思議なモノに変化した。そのモノは聖なるモノと思われた。額に五芒星が印されていた。
「吾は金のモノ。」
続けざまに一片から変化した。そのモノも聖なるモノであった。
「吾は水のモノである。」
もう一片から変化したモノも又聖なるモノであった。
「吾は日のモノなり。」

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2009年3月11日 (水)

醒なる美舞【70】 20 殺害の真相-3

「こんな仕業をするのは、人間、いや、人類には出来ない。きっと聖魔が絡んでいるに違いない・・・!」
 異常な死に方が分かった時に真っ先に憤りを隠せなかったのは司狼であった。
「自分の運命は享受できるが、葉慈だけは・・・。あんな事になるなんて。」
立ち上がって、右手を震わせた。

「母さんも聖魔が絡んでいると思うわ。」
 左手の革手袋を引き締めて立ち上がった。

「父さん、母さん。それじゃあ、僕も黙っていられないよ。」
 美舞もギラついた瞳で立ちあがった。仄かに両の手の痣に紫煙が見える。
「・・・。」
玲も立ち上がった。

「美舞、そう言うと思ったよ。」
 司狼が続けた。
「土方玲君。君は、右手に痣はないが、力を消失する力を携えているそうだね。葉慈の日記で分かったのだよ。」
玲の方を見て言った。

「司狼、決まりね。」
 真理亜が好戦的な顔でアルカイックに笑った。
「四人で真相を知りに行きますか。」
皆に答えを訊く迄もないが、司狼が真理亜と同じ表情で笑った。

「報復なんて汚い事かも知れない。でも美舞も狙われている現状、相手の事を知るのは大切な事だ。」
 司狼ことウルフがリーダーになって纏めた。

「僕は、勿論闘うよ」
 美舞。

「父の仇。仇討させて戴きます。」
 玲。

「皆、気を付けて行くのよ。」
 マリア。

「O.K.・・・!!」
 こうして四人の兵が揃った。

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2009年3月10日 (火)

醒なる美舞【69】 20 殺害の真相-2

「そうだ、玲君、大切な話がある。」
 いつになく真剣な顔の司狼。
「言い難いが、君の父、土方葉慈は殺されたと分かった。」
玲の表情を見つめていた。

「・・・。」
 あの怜悧な玲が衝撃を隠さなかった。司狼もそれを見て、自分も苦しくなった。戦友なのである。戦場で刎頸の交わりを交わした仲なのである。

「くっ・・・。悔しいです・・・。」
 正直な感想を伝えた。もう玲には親はいないのである。しかも殺されたのである。
「分かるよ。」
司狼が宥めた。気持ちを穏やかにさせようと肩を抱いてやった。

「一体、誰がどうやって・・・?」
 玲が真相を知りたいのは至極の事であった。
「それが、聖魔なんだ。聖魔の仕業なんだ。いや、神も関わっているかも知れない。」
葉慈の事は、真理亜は司狼の口から語らせて上げたいと黙っていた。

「どうしてそれが分かったのですか?私には分かりませんでした。」
 玲は縋る様な目つきで第二の父とも感じ取れる司狼に伺った。
「葉慈の場合、司法解剖されたそうだね。我々が、コネを使ってそのデータを見せて貰った。」
経緯を簡潔に語り出した。話が長引いては玲も辛かろうとの配慮であった。

「どうだったのですか?」
 父が大好きだった玲。懐に秘めてある小さな尊影を抱いた。
「遺伝子が全て核から抜かれていたのだよ。解剖して、念の為電気泳動をしたデータには、下の方にカスすら流れて来なかったとか。」
意外な死因を司狼が舒した。

「そんな馬鹿な!」
 美舞と玲が声を揃えて言った。高校生にだってそんな事があり得ない事だと分かる奇妙な出来事なのである。

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2009年3月 9日 (月)

醒なる美舞【68】 第20章 殺害の真相-1

第20章 殺害の真相

 美舞は、玲によって手厚く看護された。

 美舞の部屋に入るのは憚られ、体躯はリビングのソファーに横たえられていた。白いシャツは何故か雷を浴びた筈だが焦げる事もなかった。そのシャツを開襟した。

「俺の不注意だった・・・。」
 玲は右手を掲げ左手で自身の右手の手首を握り締めた。

 シャララン。シャララン。美舞の家のベルが鳴った。美舞の両親がその晩遅く帰って来たのであった。

「美舞!どうしたんだ・・・。」
 美舞の父、“白銀のウルフ”こと司狼が先ず駆け寄って顔を覗きこんだ。
「司狼、大丈夫みたいよ。」
美舞の母、“漆黒のマリア”こと真理亜が司郎の横に来て冷静に見て言った。

 そして、自分の利き手でない右手で司狼の同じく痣のない手を取った。真理亜が気を美舞の胸の上に翳して与えると、美舞は目を覚ました。

「・・・。あれ?僕、どうして・・・?」
 美舞が美舞に戻っていた。それを見て玲は胸を撫で下ろした。
「うん、でも何ともないみたいだけど。」
美舞は静かにソファーに座った。玲は傍に付き添った。司狼と真理亜は向いに腰掛けた。

「気を失っていたんだ。それからの事、自分が語った事は、両の手の痣に訊いてみるといい。」
 玲はきっと何かある筈だと確信があった。司狼と真理亜も見守った。

「はっ。そうなんだ・・・。うん、うん。」
 美舞は玲の言葉に素直に従い自分と会話をしていた。
「父さん、母さん、僕は神になっていたみたいだ。それも只の神でない様な・・・。」
そして、自分が語ったジーンアブダクションと神のカルマについて語り出した。美舞の両親は真剣に聴いていた。

「分かったよ、美舞。」
 司狼も涙ながらに聴いていた。娘がこんな辛い目に会うとは。
「そうね、司狼。」
真理亜も勿論心配であるが、若い頃とは違い落ち着いて聴いていた。

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2009年3月 8日 (日)

醒なる美舞【67】 19 ジーンアブダクション・神のカルマ-2

「人類の学者によれば、Y染色体は子孫に単純にコピーされ変化をせずに遺伝をするので、祖先を辿り易い。その結果分かった事は、染色体が傷付き易く修復も殆ど不可能である。そして矮化して行った事である。」
 “吾”は続けた。

「人類は知らないが、その矮化を起こしたのは吾である。」
 要は、突然変異は主にY染色体に行われていたのであった。

「つまり、簡単に言わばATGCの塩基配列を変えたのである。」
 “吾”が嘲笑した。

「取るに足らない人類に与えた吾の制裁である。奢り高ぶっていたからである。」
 一体人類の何が気に入らなかったのであろうかが玲にも分からなかった。

「処女懐胎がなされなければ、子孫はこれ以上繁栄されないであろう。吾らの子孫のキリストの生誕はマリアの不貞ではなく、処女懐胎の可能性を示唆したものである。」
 又もや、実験的な事件を起こしていたのかと玲は憤った。

「しかし、男性がいなければ、恐竜の時代にシステムが出来上がった哺乳類によって子孫を産むのに必要な胎盤ができないので、処女懐胎等人類ではあり得ない。それが、現状である。」
 至極の事であった。

「Y染色体が退化すると言う事は、逆五芒星の魔の力が衰えている事になる。」
 成る程と玲も思った。

「女性のX染色体にのみ乗る聖の力を持つ左手に痣として五芒星が表れる人類と男性のY染色体にのみ乗る魔の力を右手に痣として逆五芒星が表れる人類とのバランスが崩れて来た。」
 玲ははっとした。

「三浦美舞の力を利用するには、そのバランスの崩れた力の暴走を利用すればいいのを吾は知っている。」
 玲の危惧がそうではなくなって来た。

「そう、お前の右手の事も知っている。」
 心の臓を突かれた。

「聖・魔の暴走が間もなく起こる。人類も力を合わせる時が来た。」
 闘えと“吾”こと“神”は言うのかと玲は問いたかった。

「その時が。」

 そう語ると美舞は寝込んだ。

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2009年3月 7日 (土)

醒なる美舞【66】 第19章 ジーンアブダクション・神のカルマ-1

第19章 ジーンアブダクション・神のカルマ

「吾は神なり。」

 ガガガガガガガーン!!!

 プラズマが表れ、雷鳴が轟いた。

 美舞は美舞でなくなっているのが、玲にも見て取れた。オベリスクの様に尊威を持って聳え立っていた。

「吾は神なり。」
 再び美舞に何か憑依したのが、玲にはゾクっとして感じ取れた。玲は口が利けなくなっていた。金縛りにあった。

「吾は、ジーンアブタクションを起こした。」
 “吾”なるものが語り出した。

「その語り部となり給え。」
 玲に語っているのか、内なる美舞に語っているのか、玲には分からなかった。

「人類は23対46本の染色体を持つ。その内、44本の常染色体の他に2本の性染色体があり、それらは性決定権を持つ。X染色体を二つ持つものは女性となり、Y染色体を持つものは男性となる。」
 それは玲でも知っている事であった。

「女性のX染色体にのみ乗る聖の力を持つ人類は、左手に痣として五芒星が表れる。男性のY染色体にのみ乗る魔の力を持つ人類は、右手に痣として逆五芒星が表れる。」
 その言葉で、マリアの左手に五芒星の痣があり、ウルフの右手に逆五芒星の痣がある事が確証された。

「吾はその聖なる人類と魔なる人類との純血種であり、吾の23番目の染色体には、一つのX染色体に聖の力のDNA配列が並び、もう一つのX染色体には魔の力のDNA配列が並ぶ。」
 美舞の事であった。

「Y染色体は、X染色体から生まれた。今そのY染色体の退化が進んでいる。現在から遅くとも約600万年後には途絶えるであろう。」
 “吾”の意外な未来予想図に玲は衝撃を隠さなかった。

「それはジーンアブダクションによるものである。」
 “吾”は言い放った。

「ジーンアブダクションとは、吾が起こした遺伝子の革命的拉致である。つまり人類の言う所の突然変異である。」
 玲にとっても勿論、突然変異を神である“吾”が行ったとは驚きであった。

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2009年3月 6日 (金)

醒なる美舞【65】 18 衝撃の初デート-5

「美舞は唯一レモンティーが好きなんだね。」
 今度は、玲がミルフィーユを食べていた。美舞はザッハトルテを眺めていたが、唾を飲んで一口食べた。
「うん、甘い物の中ではね。心太も好きだよ。」
喫茶店で大胆発言であった。それが可笑しくて玲は笑った。

「へえ、食べ物一つ取ってもお互いに知らない事ばかりなんだね。」
 玲は美舞が初めて付き合った女の子の様であったが、何かとそつがない。
「はは。出逢ったばかりだもの。」
当たり前の事すら、そう箸が転んでもおかしい年頃になっていた。

 会話がどんどん弾んだ。長居してはいけないとマスターに礼を言って店を後にした。割り勘にした所は美舞の提言であった。

 色々なお店を見て回ったり、お互いの話をしたりと忙しく過ごした。初めて出逢った頃には考えられない程打ち解けていた。

「もう、帰ろうか・・・。」
 どちらともなく言い出した。堪え切れないものがあった。夕陽が二人の影を伸ばした。時間が経ってしまったものは戻らない。

「そうだ。家のお夕飯は僕が作るよ。」
 美舞の料理もマリアと司狼の仕込みで十分に堪能出来る。
「いいね。楽しみだなあ。」
そう言いながら二人は同じ三浦家に帰宅して行った。

 三浦家の門扉の前に立った。玲が先に入り鍵を開けようと思っていたのであるが、美舞が庭に出て駆けだした。
「ただいま帰りました!」
美舞は元気に家に挨拶をした。

「待って、用心して!」
 玲が美舞を引き留めようと腕を掴もうとした時である。美舞が急に振り返り、二人は手を繋ぐ形になったのである。

その時である。美舞に電流の様なものが走り、両の手の革手袋がバリバリバリと音を立てて破けてしまったのであった。

「しまった・・・!!」
 玲のその声は雷鳴と共に掻き消された。

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2009年3月 5日 (木)

醒なる美舞【64】 18 衝撃の初デート-4

「じゃあ、このお店にしましょうか。」
 玲が知った店であるかの様にデートモードと言うより少し大人の店を選んだ。
「O.K.」
美舞は少し父の様なこの玲に段々と惹かれて行った。父さんもこうした店が好きそうだったからだ。

 二人で蔦に貰われた煉瓦作りの少しレトロなお店を叩いた。中は、琥珀色の綺麗な家具で出来ており、ランプはアールヌーボーであった。蜻蛉の細工のランプの席に座った。

 美舞はフォンダンの美味しそうに掛ったミルフィーユ、玲はザッハトルテを頼んだ。

「このお店は国際的だね」
 玲が冗句を言った。
「ん?何が?」
意外で美舞は分からなかった。

「ケーキがですよ。二つ目のケーキはどうしますか?」
 又、しれっとして言われた。
「え?二つ目!?普通一個だよ。」
美舞は一個でも甘くてたくさんなのに驚いた。

「二個ですよ。」
 玲がおどけて日菜子の真似をし、口をとんがらせた。
「一個。太るよ、無駄に。体重なら鍛えて増やさないと。」
軽くムキになった。

「くすっ。普通、体重の話は筋肉で片付けない女の子が多いのですがね。」
 本当に可笑しかったらしい。
「あ、生きて行くには大切な事だよ。」
又、ムキになった。

「まあまあ。ムキにならないでね。そう言う所が可愛いんですよ。」
 こう言う台詞はちょっと恥ずかしいらしい。顔が軽く紅潮し出した。
「玲君・・・。」
美舞も頬が赤らんで来たのであった。

「美舞・・・。」
 何となくそう呼びたくなった。

 美舞は二つ目のケーキを頼む事にした。

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2009年3月 4日 (水)

醒なる美舞【63】 18 衝撃の初デート-3

「此処もいいですが、そろそろ参道のウランストリートの方を歩いて行きましょうか。」
 玲は自然と誘った。実は桜に気恥ずかしくなって来たのであった。美舞はそれに表だっては気が付かなかった。
「そうだね。ここもエネルギーに満ちていていいけれども僕達が自然の邪魔みたいな気がして来たよ。」
桜の持つエネルギーがまさか自分の生まれに関わっているとは未だ知る由もなかった。

「邪魔じゃないですよ。美舞先輩は特に。」
 自然を愛する玲らしき発言であった。しかも美舞は別格の様であった。
「そう?何となくそう思ったんだ。それから、僕の事は先輩を付けないで呼んで欲しいなあ。」
何だか打ち解けて来て嬉しい美舞。

「分かりました。では、今度から。」
 玲は畏まって西洋風のお辞儀を何故かした。
「あ、は。」
美舞はその滑稽さに微笑んだ。

 ウランストリートに入った。此処は元徳乃川神宮の参道であるが、今はショッピングにとお洒落に立ち並ぶ店が多い。建物も何もかも瀟洒であった。

「ケーキでも食べますか?」
 二人で店をウインドウショッピングしながら、玲はゆっくりと話しをしたいので勧めた。
「僕、甘いもの苦手なんだけど・・・。付き合うよ。」
悪い気はしなかった。でも、実は司狼が大の甘党なので、普段は辟易していた。

「よかった。俺はちょっとした甘いもの好きでして。」
 正直に誘ったつもりであった。
「へえ。そうなんだ。」
軽く笑った。司狼も同じだから、それを言いたいのを我慢していた。美舞は少しファザコンであった。

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2009年3月 3日 (火)

醒なる美舞【62】 18 衝撃の初デート-2

 徳乃川神宮に来たのであるから、二人は目配せをして早速お参りに向かった。お賽銭が投げられると中で何と結婚式を挙げていた。ちゃりーんと言う音と厳かな式が不思議な空間を作っていた。

「ああ、綺麗だろうね・・・。」
 うっとりと玲がちいさな声で話した。
「だろうって、何が?」
玲のこのうっとりとした目に美舞はちょっと恥ずかしくなってしまい、つい訊いてしまった。

「美舞先輩の花嫁衣装だよ。」
 玲は微笑んでもの静かに語った。
「・・・!!な、何言っているの玲君!」
よく分からなくなって、顔の前で左右に両手を振った。その両の手には革手袋の新しいものが嵌められていた。司狼の部屋に予備があると玲も聞かされていたもので、大会の後火傷の様な痕が癒えたら、玲が包帯を解いて手渡してくれたものである。

 二人は、徳乃川神宮の森を歩きながら話していた。学園都市にこんな自然があって綺麗だなと二人で木々の梢や小鳥の鳴き声を聴いていた。入学シーズンとあり、八重桜を見つめていた。

「俺は、美舞先輩と本当に結婚したいと思っているんだ。」
 桜を見るとあの時の美舞の瞳を思い出して本音を言っていた。
「・・・。ど、どうして。そんな、会ったばかりじゃない。」
美舞は動揺を隠せないでいた。何を言ったらいいのか分からずに会ったばかりだなんて、一目惚れと言う事もあると言うのに言い出してみた。

「それは、今日、デートしてみて帰りに分かるよ。」
 いつもの様に穏やかに美舞を落ち着かせる様に言った。
「普通、付き合って1日とかあり得ないと思うけど。」
やっと、冗句の言える美舞に戻った。

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2009年3月 2日 (月)

醒なる美舞【61】 第18章 衝撃の初デート-1

第18章 衝撃の初デート

 美舞と玲は同じ家に暮らしていた。玲は司狼の部屋を使わせて貰っていた。

 美舞は今日は制服ではなかった。流石に日曜日であるし、私服であった。無地の白いシャツにミジンボーダーのグレーのTシャツにデニムのタイトスカートであった。

 約束の時間の30分前にリビングに来た。美舞はいつも30分前行動を取っている。「そなえよつねに」なのである。

 所が驚いた事にダイニングに玲を見た。玲は軽く手を振っていた。

「やあ、すっかり気が合うね。」
 玲は爽やかさ満点でご飯にお味噌汁に鱚のチーズと塩昆布鋏揚げに玲の漬けた茄子をテーブルに並べていた。
「全く同じ時間だね。」
美舞も食事の支度を手伝った。

「最初に徳乃川神宮を見に行かないかい?こう言う所、俺は好きなんだ。」
 玲は食事をしながら話し掛けた。
「僕もだよ。近くに居ながら行く機会が少ないんだ。嬉しいなあ。玲君も同じ趣味だとはね。」
お付き合いに疎い美舞でもデートとやらに少しわくわくして来た。

「じゃあ、出よう。」
 玲が鍵を掛けてくれて、二人で徳乃川神宮へ向かった。

 徳乃川神宮は美舞の家から徒歩20分程の距離である。道すがら、二人は先日の新入生歓迎大会の話で盛り上がっていた。

「俺は、結局は勝ち負けは結果だと思うな。」
 玲は美舞をからかった。
「いや、あれは僕にハプニングがなければ、普通に闘えていたさ。それなら負けないよ。」
美舞も負けじ心でかなり冷や汗を掻きながら必死で熱弁をした。

 とどのつまりは、最後の闘いで勝った負けたの事で、美舞も玲も負けん気は負けないと言う事がお互いに分かった。それが可笑しくて笑っていたら、丁度、神宮に到着した。

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2009年3月 1日 (日)

醒なる美舞【60】 17 約束-3

「結婚を前提にお付き合いをして下さい。」
 玲が言った。

 暫く間があった。

「は、はあ!?」
 日菜子の驚きは美舞より早かった。

 美舞の目は丸くどんぐりの様になっていた。頬は次第に紅潮して来た。結婚を前提にするのも驚きであったが、お付き合いそのものも驚きであった。何も頭で整理が付かなかった。
「は・・・。はい。」
美舞はショックの余りO.K.した。

「先ずはデートですね。」
 少し楽しそうな玲であった。
「デートですか・・・。」
美舞の口からデートなんて言葉が出るなんて自分でも信じられなかった。

「ええ・・・?デート?美舞が?」
 日菜子が口をとんがらせた。
「以前からお願いしたかったのですよ。でも美舞さんは強いタイプがお好きだとかで、この大会が終わってから申し込もうと思っていたのです。」
告白は計画的にすると言う玲の慎重さは石橋を叩いても渡らないであろう。

「い、行くの?美舞。」
 信じられないのは日菜子もそうであった。
「うん。約束だし。」
素直な判断の美舞らしい答えであった。

「結婚を前提にとか言っているよ。」
 日菜子は狭い医務室なのにぼそぼそと言った。
「僕だって、約束は守らないといけないと思っているんだ。闘ってみて分かった事が沢山あるし。」
素直過ぎる美舞の可愛らしさに卒倒しそうな日菜子であった。玲もそうであろうか。

「じゃあ、来週の日曜日でいいですか?」
 早速誘う玲。
「何でも来いだよ。」
包帯を付けた侭両拳を小脇に寄せる様に引いた。

「場所は、学園の近くで済まないけれども、徳乃川神宮の近くと参道のウランストリートでいいいかな?」
 玲の怜悧な雰囲気も和らいでいた。
「O.K.、玲君」
美舞は順応性が高い様だ。

こうして美舞は初デートを決めた。結婚を前提のお付き合いだそうである。

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